「今日はやめておく」と言う人に今すぐ「Yes」と言わせるコツは“言い訳を与える”こと

今では様々な仕事があり、物を売るだけでなくサービスや空間を提供するものや、ブログのような情報を提供するものまで幅広く存在します。

そんな中でも物を売る仕事に就いている人はたくさんいて、私もつい最近まで物やサービスを売る仕事をしていました。

物を売る仕事をしていると「どうしたら売れるのか」という疑問は誰でも一度は考えたことがあるはずです。

売れる販売員の中には感覚で売れるという人と頭を使って売る人がいます。

感覚だけでずっと売れ続けるのであれば何も問題はありませんが、感覚だけを頼りにしていると売れなくなった時にどうして売れなくなったのかがわからず、対策を考えることができません。

一流の販売員というのはどんな状況でも結果を出す人のことであり、その為には頭をつかって売るということもしていかなくてはいけません。

というわけで今回は誰にでもできる頭を使って物を売る方法をご紹介しましょう。

対象となるのは来店されたお客様を接客して販売につなげるタイプの販売業ですが、この考えは様々なことに応用できるのでどんな人でも知っていて損はありません。

一番大切なのは話すことより、まず聞くこと

営業トークというとどうしても話すことだけに集中してしまい、お客様を置いてけぼりにして自分中心に会話を進める人がいますがこれは一番ダメなパターンです。

仕事以外のコミュニケーションでもそうですが人と話をするときは話すことよりも話させることの方が大切です。

つまりまずは徹底的にヒアリングを行うことから始める必要があります。

人には顕在ニーズ潜在ニーズというものがあり、より多くのものを売ろうと思った場合、うまくヒアリングすることによっていかにこの潜在ニーズに引き出すことができるかということが鍵となります。

会話の中から潜在ニーズをうまく引き出し、それに合った商品を提案すれば売れる確率はグッと上がります。

しかしそもそもヒアリング自体が苦手という人もいると思います。今回はそんな人のためにまずはちょっとしたヒアリングのコツをご紹介しましょう。

-顕在ニーズと潜在ニーズ-
顕在(けんざい)ニーズとは
表に現れている顕在的な要求や需要それが欲しいと自覚している状態。
潜在(せんざい)ニーズとは
表に現れていない潜在的な要求や需要それが欲しいと自覚しておらず直接的な必要性をまだ感じていない状態。

ヒアリングをするときのコツ

ヒアリングのコツは会話をするとき相手に会話の間を埋めさせ、会話の主導権を握ることです。

会話の主導権を握れば自分のペースで相手を喋らせることができ、本当に聞き出したいことをうまく会話に刷り込ませることができます。

会話が苦手な人の中には沈黙を極端に怖がる人が多く「あー」とか「えー」などと言いながら自分で会話の間を埋めてしまう人がいますが
、これでは効果的なヒアリングをするどころか、相手に会話の主導権を取られてしまいうまく話をはこぶことができません。

会話に間をつくりその沈黙を相手に埋めさせるというのは言葉いうほど簡単なことではないですが、まずは自分と相手の話している割合を意識しヒアリングをするときはより相手に話をさせることに注力します。

そして吐き出された言葉の中から潜在的なニーズを感じ取りそれにあった商品を勧めることができれば、あなたの売り上げは劇的に変わることになるのです。

買わない理由から今すぐ買う言い訳を与える

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ニーズに合わないものを売ることは単なる押し売りになってしまうので私はオススメしませんが、中にはニーズに合っているのに購入をためらうケースも存在します。

これはなぜかというと潜在ニーズを深堀して今欲しいと気付いたものに関してはまだ心の準備ができていないこともあるからです。

そんな時は今すぐ買うべき理由を与えてあげれば良いのですが、どのようにすれば効果的に購買意欲をあげることができるのでしょうか?

パターン別買わない理由とその対応策

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ニーズという言葉に似た言葉でウォンツという言葉があります。

人は何かを欲しいと思った時に最低限その欲求を満たせるものを必要とする場合と、特定のなにかを必要とする場合があります。

物を売る場合は目の前にあるこの商品が特定の欲しいものだと思ってもらえる提案をしなくてはいけません。

これを間違えるとせっかく潜在ニーズを掘り起こしても「うちにそれに似たものがあるからいいや」とせっかくのお客様を逃がしてしまうことになりかねません。

そして人が買う、買わないを決める時は必ずなにか理由があります。

その理由というのが意識的なものか無意識的なものかは別として、なんとなくということは基本的にあり得ないのです。

お客様が「今日はやめておく」と言った場合は素直に買わない理由をききましょう

「なにかお気に召しませんか?」

「とてもよくお似合いですが今日は購入されないのですか?」

など普段接客をしている皆さまならいくらでも言葉は出てくるはずです。

ただ、お客様が無意識的に「買わない」と判断している場合はすんなり出てこないこともあるので相手の言葉をよく聞き、買わない理由をさがしましょう。

買わない理由が解ればニーズをウォンツにするひと言を添えてあげればあとはお客様の方から「欲しい」と言ってくれるのを待つだけです。

それではここからは買わない理由のパターン別にニーズをウォンツにする対応策を考えていきましょう。

-ニーズとウォンツ-
ニーズ(needs)とは
必要性のことであり足りていないものを埋めたいという漠然とした欲求や要望。
ウォンツ(wants)とは
ニーズを埋めるための具体的なもの。
喉が渇いた時に「何か飲みたい」と思うことはニーズであり 「ビールが飲みたい」と思うことはウォンツである
※ニーズとウォンツには様々な解釈がありあくまで私なりの考え方です。

理由その1 不安がある

買わないという選択をする場合の多くはこの不安があるという理由です。

不安というのも様々なものがあり

  • 使わなくなるかもしれない
  • 使い方がわからない
  • 信用できない
  • もっと良いものがあるかもしれない
    などなど

挙げだすとキリがありません。

こういった不安を理由に購買をためらっている場合は単純なことですがその不安を取り除いてあげることが大切です。

「使わなくなるかもしれない」と思っているのであればお客様の生活にあった様々な利用シーンを提案し具体的に想像させることによって
不安を解消することができます。

「使い方がわからない」と思っているのであればアフターケアの約束や家電製品なんかの場合はヘルプデスクの電話番号を調べて
教えてあげるだけでも安心して買ってもらいやすくなります。

「信用できない」と思っている人には自分がおすすめする根拠をできるだけ具体的な例をもって説明し「わたしも使っていますが
こういう時にとても便利ですよ」と体験談などを織り交ぜていくと自然と購買につながりやすくなります。

「もっと良いものがあるかもしれない」と言う人には徹底的な比較とメリット/デメリットの説明をし、根拠をもってこの商品がおすすめだということを伝えましょう。そこが曖昧に伝わってしまうと人は他に選択の余地を感じすぐには買おうとしないものです。

他にもたくさんの不安がありますが大切なことはお客様の気持ちに寄り添うことです。

どういう理由で不安に思っているのかということを自分のことのように考えてくれる人には自然と心を動かされ、やがて信頼につながり「あなたがそう言うなら」と気持ちよく買ってもらうことができます。

-ワンポイント-
お客様の不安はほんのちょっとの気遣いで解消することができます思いやりを持った接客ほど結果につながることが多いです。

理由その2 決済権がない

ひとりで生活している人の場合買い物の決済権は常に自分にありますが、家族と生活している人の場合自分ひとりでは安易にものを購入できないつまり、決済権がないという場合があります。

高額な商品の場合や決済権がある金額が少ない人の場合は無理に押し売りすることは禁物です。あとで家族が怒って返品しにくるなんていうとんでもないトラブルに発展しかねません。

 

ではこの場合はどのように対処すればよいのでしょうか?

私の場合は「電話してもらえれば自分がかわりに説得しますよ」とよく言っていました

決済権が無い人の中には自分でうまく説明ができず購入を諦める人が一定数存在します。

そんな人にはこの手がとても有効で、もし電話がつながらない場合や電話をかけることに抵抗がある人も「次に一緒に連れてくる」と“買うときはあなたから”という約束を向こうから勝手にしてくれることも多くなります。

電話も連れてくることも出来ないという人の場合は焦らず、説得の方法をレクチャーしましょう「私が言ったことをそのまま伝えて下さいね」とその商品がいかにお客様にとって必要なものなのかをもう一度説明してあげて下さい。この時、決済権がある人も一緒に使えるような商品であればうまく巻き込むセリフも教えてあげれば可能性はぐんと上がります。もちろんパンフレットのようなものがあれば忘れずに渡してあげましょう

ワンポイント
夫婦で来店されるお客様や親子で来店されるお客様の場合決済権があるのが誰なのかよく見極めながらアプローチしましょう。

理由その3 急いでいる

販売業をしているとなぜ時間がないのに今日来たのかと思うほど急いでいる人に多く遭遇します。

こういう急いでいることを理由にする人の場合逃げの口実にしている場合もあるのでその場合の深い追いは禁物ですそこにいたるまでの
あなたのアプローチが間違っていたと反省し、見切ることも大切なのです。

しかしながら本当に急いでいる人の場合どのように対処すればいいのでしょうか?

これにはまずお客様にタイムリミットを確認し購入にあたっての所要時間を伝えます。

「時間がない」というのは人によって感覚が大きくちがい本当に1分も時間がない場合もあれば30分くらいなら平気という場合もあります。

そして販売するこちらからは購入にあたっての所要時間がなんとなく見えていますがお客様からするとどれだけ時間がかかるのかがわかりません。

まずはお互いの認識のズレを確認し本当に時間が足りない場合は予定をずらしてもらえないか交渉しましょう。

私の経験上「時間がない」という人でもそれほど大事な用事が後に控えていることはあまりありません。

なぜなら、本当に大事な用事の前に人は買い物なんてしないからです。

何時間も予定をズラしてもらうことはできませんが15分や30分くらいなら意外とすんなり応じてくれるものです。ダメ元でもいいので恐れずにお願いしてみましょう。

他には急いでいる人にあらかじめ所要時間を伝えておくことも有効です。

少し洞察すれば「スーツを着ているから仕事中か」「スーパーの袋に食品が入っているからあまり長くは話せそうにないな」など、簡単に見抜くことができるはずです。

こういったお客様にはあらかじめ所要時間を伝えお互いに時間の無駄にならないよう気を付けましょう。

関連記事:観察力のある人が行う「洞察」と、観察力のない人が行う「妄想」

-ワンポイント-
時間がないといわれる前にお時間は大丈夫ですかと配慮するくらいの気持ちが大切。相手からそう言われた時にはもうアプローチが失敗している可能性もあります。

理由その4 お金がない

「今、お金がないから」

「最近大きな買い物をしてサイフの中身が・・・」

などと言いながら去っていくお客様をあなたも一度は見たことがあると思います。

本当に今お金を持っていないなら仕方ありませんが、クレジットカードなど代替案がある場合はもう少しよく考えてみましょう。

人はお金が無くても必要なものであればお金を使います。

なぜならお金は持っているだけでは何にもならず、使うことによって価値を生むのです。

普段は1円でも安いものを買い求める人でも車を買う時には何百万というお金を使います。

食事にいくといつも「割り勘で」という上司でも好きな女性には気前よく振る舞うことがあります。

つまりお金を使うのはその人なりの価値観があり「お金がない」という言葉は「そんなものを買うお金は無い」という意味である可能性があります。

ということはそれだけ価値のあるものだとわかってもらうことが出来れば買ってもらえる確立が上がるということですが、どうすればいいのでしょう?

これには本当に色々なテクニックが存在し、そのすべてを書いているとそれだけでひとつの記事が書きあがってしまいます。

今回は私がよく使うテクニックの中で比較的簡単な方法をひとつ紹介しましょう。

商品価値を高める販売テクニック

商品価値を高める販売テクニックには希少性をうたうものや大きな要請を断らせた後に譲歩したように見せかけて小さな要請を通すというものなど多種多様なものがありますが使い方やタイミングが難しいことが多くすぐに実践できるものばかりではありません。

私が色々なテクニックを試した中で一番簡単かつ誰にでもできるものはお客様にあえて選択の余地を残し選択させるという方法です。

「これがおすすめです」と言われると人は選択するかしないの二択で考えますが、「このどちらかがおすすめです、どちらにされますか?」と言うと自然とどちらかを選んでしまうものなのです。

人からおすすめされたものよりも自分が良いと思って選んだものには価値が生まれお客様の中の商品価値が勝手に上がってくれるので
「あれを我慢すれば買えるか」と勝手に優先順位を繰り上げてくれるようになります。

それでも買わないという人に再来店を促す魔法

買わない理由がどれだけ聞いてもわからない場合や、時間やお金などが原因でどうしても今すぐという訳にはいかない場合“再来店を促す”というのもひとつの方法です。

やり方は簡単で次に来てもらう日を決めてしまえばいいのですが

ただし、「次はいつ来れますか?」という聞き方はあまり効果的ではありません。

また再来店してもらえるようにうまく誘導する為には、見た目や今までの言動などを洞察したり今の状況からある程度予測をしたり質問を挟むことも必要です。

例えば土日に来店されるお客様の場合毎週土日が休みのことが多いので「また来週きてくれますか?」という言葉の方が効果的ですし
、平日に来店されているのであれば服装などから「お仕事中ですか?」や「いつもこの時間に近くにお越しですか?」と相手からスケジュールを教えてくれそうな質問をなげかけ、それにあった曜日や日にちを指定して再来店のお願いをすればいいのです

この時に「お客様のことを覚えておきますね」とひとこと添えてあげればまたあの人にお願いしようという気持ちになり、せっかく約束したのだからまた行こうと本当に来てくれる可能性が高まります。

 この記事のまとめ

いかがだったでしょうか?

こういったテクニックというのは無数に存在し時代とともに新しいものが生まれ同時に消えていったものもあります。

物があふれ消費者側にもたくさんの選択肢がある中で自分の売りたいものを売るということは本当に大変なことです。

物を売る側にも買う側にも悪い人やいい人がいて騙したり、騙されたりそんな話をよく聞くようになりました。

けれどものを売る楽しさや達成感というのは何物にも代えがたいものがあり、私は皆様にも楽しんで販売をしてもらいたいとそう思っています。

どうせ売るなら上手にテクニックを使いお客様とWin-Winの関係でいつづけたいものですね。

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